店頭に並んでいる商品、時々目にするセールや値引き、値下げ、もしくは「本当は捨てられるべきもので作りました」的なエコなイメージ品などあります。

消費者からすれば好印象を受けるものばかりですが、実際本当に良い事なのか、というところまで“裏の意図”まで考えて購入の判断をした方が良いのではないかという提案を致します。

 

起
成熟した消費者が増えたからこそ考えるべき

昨今の消費者の方々の目は本当に成熟していると言われています。私自身も製品を世に送っているエンジニア視点から見ても、世間にはモノが多く溢れて自然と同様な製品を作っている企業は競争してより良いものを世に送り出し、更にインターネットの普及によってレビューや口コミによって、良いものか悪いものか情報が手に入り、ますます消費者の製品を見る目が成熟しています。

そんな中購入を考える要素として、機能だけでなく、例えば価格の安さや自然にやさしいといった付加価値も購入を決定する要素になっています。

実は考えるべき矛盾や違和感が存在しているのです。例えば環境の為に脱プラスチックとして紙ストローが登場に関しても、環境に優しい分プラスチックストローに比べて紙ストローのコストは10倍も高いと言われています。その価格上がり分を商品に上乗せされているでしょうか。されていなければ誰かがシワ寄せで負担することになります。

セールに関しては何となく季節性の商品や型落ちなどで安くしなければならないと何となく理解できます。

価格改定・価格見直しによる値下げというのはいかが思いますか。どこかで捻出したのだろうと思いますか。販売店舗が自社の取り分を献上して値下げしているのであれば素晴らしい事です。もしくは仕組みを改革して、例えば設備導入して自動化して人件費を削減などは理にかなっています。

何か抜本的な変化によって実現される価格見直しは理解できますが、何も変わったように見えない中での価格見直しによる値下げは裏の意図を考えた方が良いでしょう。

 

承
言った者勝ちになっていないか注意が必要

価格改定による値下げ、地球にやさしい、わけあり、私はこのフレーズには懐疑的なのですよね。

価格見直しによる値下げに関しては、基本的にコストを抑えて商品を作るのは当然のことであり、それを更に値下げするというのは抜本的な改革なしに行っているとすれば、元々の取り分(販売価格‐仕入れ価格)が多かったのか、単一の利益が減っても値下げをして消費者を取り込み、トータルの売り上げを増やして総合的に利益を伸ばすか、単にメーカーから更に安く仕入れるかですね。

訳あり商品(一般的には型落ち品、新古品、展示品処分、傷物、不揃いサイズなどにより規格外とされ、通常の販売ルートでは流通されないが、見た目だけの問題で機能としては問題がないものがわけあり商品)に関しても一時期人気でしたが、「本来の商品よりも売れてね?」と言いたくなる時がありました。訳あり商法ですね。訳ありとつければ安くて本当は良いものというイメージで、便乗もかなりあったと思います。

廃材(不用のものとして廃棄された材料)で作りました、というようなエコなイメージをさせる商品でも、本当に製造過程で生まれたものなのか分かりませんよね。商品の説明文だけのことですから。正直「この工程でこんなに廃材でないよな」という商品も結構あります。商品説明や謳い文句などイメージ作りがされているものの、実情とは違う商品があるのです。

「小売業」とは、個人用または家庭用消費のために、最終消費者に商品を販売する事業、要は店舗などの事ですが、その小売業が言ったもの勝ちになっている可能性があるのです。

「訳あり商品です」(本当は訳なんてないけど売れるから)

「価格努力しました」(小売側ではなくメーカー側が)

「エコな商品です」(本来使用すべきでない素材を無理に使って製造現場で大量の不良が発生)

などなど、製造工程や証明書をしっかり見ないと分からない部分が実は多いですね。

 

転
小売業とメーカーとのパワーバランス

『お客様は神様』とよく言われます。本来は謙虚な気持ちでお客さんに接する考え方のはずが、お金を払って買う側が偉いというような解釈をされていますね。普通に考えれば、メーカー(製造者)がそれを作らないと商品を買うことが出来ないので対等な関係で“取り組む”べきです。自分も相手も双方が恩恵を受けるWin-Winな関係が本来目指すべきところです。

どうしても発注をする側(小売業)が受注する側(メーカー)よりも強い立場になるのですよね。そうなるとどういうことが起こるか、メーカー側への無茶な要求が生じます。

こういうものを作って欲しい、購入価格(仕入れ額)を安くして欲しいなど、メーカーが採算の合わない小売業に都合の良い“一方的な取り組み”が行われやすいです。そんなことが生じないように企業でコンプライアンスなどが設けられていますが、暗黙の了解で見て見ぬふり、企業の看板を持った担当者の独断もあります。

成熟した消費者は、目に見える店頭などの小売りだけでなく、見えないが商品を作り上げた功労者のメーカーのことまで考えることが次なる成熟となるでしょう。近年では生産者が消費者に直接販売するD to CD2C)も台頭しており、消費者とメーカーと接する機会が増えています。小売業とメーカーのパワーバランスは少しずつ変わり、商品も少しずつ変化していくかもしれません。

 

結
消費者は表面の言葉に踊らされてはいけない

成熟した消費者の中には商品が本当に良いものか分かる方々がいます。販売店が大々的に値下げをしたきにしっかり判断してください。旬が過ぎたから値下げをしたのか、値下げをしてそれなりの品質になっているのか、値下げしつつ品質を維持しているのか。

値下げだけでなく、「エコ」とうたっているようなものも同様です。どこに値下げのしわ寄せしているのか。プラスチックの代わりにエコ素材を使用する為に生産コストは上がっていないか。使用した後の処理は地球にやさしいかもしれないが、生成するために大量のエネルギーや人件費が発生してしまっていないか。

どういう意図で値下げやエコをうたっているのか、本当にその小売業の企業努力で値下げが実現されているのか、エコ素材の生産現場は本当に地球にも人にもやさしいのか。

消費者の為・環境問題の為という大義名分で小売業はメーカーに対して傍若無人に振る舞っていないか。そんな事をしていては持続可能な開発目標(SDGs)は実現されません。単なる消耗戦です。

我々消費者は表面上の値下げやうたい文句に踊らされることなく、生産背景まで考慮して良質なものを適正な価格で購入することで正しい消費サイクルとなるように変革しましょう。

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