エコノミー、スタンダード、プレミアム、アドバンス、ラグジュアリーなど商品やサービスには様々グレードがありますが、みなさんはハッキリと区別できますか。
またそれぞれの言葉にどのような印象を受けるでしょうか。
実はこれがわかるとマーケティング(販売方法)やプライシング(価格設定)に関して詳しくなれるので、ぜひ理解しておきましょう。
気付かないうちにマーケティングによって僕達は商品を買っている
日本人はスマホといえばiPhoneですよね。しかしどうしてiPhoneと思い浮かぶようになったのでしょうか。Androidの方が安くて同じ性能や同じ価格で高性能なものがあるはずです。
コスパだけを考えるとAndroidの方が優れていたりします。iPhoneだけだと選択肢は少ないですが、Androidスマホの場合は、各メーカーが各モデルを展開して選択肢も多いですよね。
この答えは、「スマホといえばiPhone」「iPhoneは直感的」「iPhoneは操作しやすい」「iPhoneがイケてる」という認識があるからです。ブランディングですね。
価格や性能の比較ではなく、Apple社のブランドイメージ、そもそもiPhoneしか眼中にないレベルまで人々が印象を持っているということです。
ガジェット好きやこだわりの強い人は性能や価格を比較するのかもしれませんが、正直パソコンでも同じですがCPUやメモリがどうとか具体的な部分というよりも、「サクサク使えれば良い」「薄くて軽い」という浅く抽象的なレベルしか追求しない人の方が多いのですよね。
商品を比較するにも旧作や同時期の他のアイテムと比較するのも情報を集めなければいけませんし、そもそもその情報が正しいかも判断ができない人がいます。
この場合はiPhoneを例に挙げましたが、例を車で考えると「フェラーリに乗りたい」「ランボルギーニに乗りたい」場合でも、もうそのレベルの車を買おうとしている人は他の選択肢は排除していますよね。
機能や価格の細かな違いというよりは、ブランドという看板の大きな部分に目を向けています。
フェラーリやランボルギーニなんて馬力はあるかもしれませんが、法定速度以上は実際には出せませんし、むしろ移動する手段として価格が高く、傷つけた場合の修理も高額、社内も狭いです。
ロールスロイスであろうが、トヨタのアルファードであろうが、快適に移動するという機能的には同じですよね。
みなさんが余裕で購入できる資金があれば、フェラーリやランボルギーニ、ロールスロイスを買ってしまう思うのですよね。だってその方が所有欲が満たされて何よりカッコイイじゃないですか。単なる機能だけではなく、買うことや所有することのこだわりや意味の世界なのですよね。
それぞれのグレードについて考えてみよう
今回説明として以下の感じでグレードをつけました。上はグレードが低く、下がグレードが高いイメージです。
- バリューパック(お得)、ライト(廉価)
- レギュラー、スタンダード、エコノミー
- プレミアム、アドバンス、スペシャル
- ラグジュアリー
都合上「レギュラー、スタンダード、エコノミー」の説明を最初にします。
【基準】レギュラー、スタンダード、エコノミー
これはイメージ的には横並びで、いわゆる普通・ベーシックです。展開しているラインナップの中で可もなく不可もなしです。まさに基準となる商品やサービスです。
【割安】バリューパック(お得)、ライト(廉価)
これはレギュラーやスタンダードと比較して、割安な商品やサービスです。レギュラーで展開している商品と機能は同じだけど素材を安価なものにしたものなどです。プレスチック容器の食器洗剤が詰替え用の袋入りで容量の割に安価に売られているとイメージするとわかりやすいです。
【ワンランク上】プレミアム、アドバンス、スペシャル
これはレギュラーやスタンダードと比較して、機能や素材、仕上げの見た目を良くしたものとなります。通常よりも商品とサービスの良くなり、価格も上がる感じです。
テレビを例に挙げると、地上波を見る分には普通の液晶テレビで良いですが、画質の良い4KやYouTubeやNetflixなどのサブスクもかんたんに見れるテレビなどですね。機能が向上している分ちょっとお高いです。
ここまではレギュラーやスタンダードといった基準との比較をしたものですが、ラグジュアリーから一気に世界が変わります。
【比類ない存在】ラグジュアリー
価格や機能を比較することなく、ブランド性や操作性、使いやすさなど別次元で差別化した商品やサービスです。
基準との比較ではないため、価格設定の上限も飛び抜けて高くなる傾向です。欲しい人がいくらでも買うそんな世界ですね。
腕時計でも時間を確認するだけならセイコーやアップルウォッチで十分(スマホがあれば不要)なのに、ロレックスやパテックフィリップといった高級腕時計がなぜ売れているのか、それは昔から憧れ・希少性・資産価値・ブランドが構築しているラグジュアリーさのためでしょう。
ラグジュアリーは奥が深い
ラグジュアリーの概念が実は難しいのですよね。世界に一つしかない時計をどれだけ精巧に作っても、認知させて販売するパワーがなければ、誰にも知られることもなく価値もつきません。
広告して人々に知られたとしても「壊れてしまうかも」「アフターサービスが心配」「誰も知らない時計はダサいかも」と信用の問題があります。
やはりブランド力が重要ということになります。Apple社のiPhoneも選ばれ方はどちらかとラグジュアリー寄りだと思いますが、びっくりするような価格設定ではありません。
「この人が作ったから」「このブランドなら間違いない」そんな感じで消費者が買おうとするわけです。そのために企業もブランディングをして他社と差別化をします。
ブランディング自体はまだ他社との比較、他社よりも信頼があるなどの比較の域ですが、そのブランドが昇華していくと妄信的に「私はこのブランドからしか買わない」「このブランドのすべての商品が欲しい」「このブランドを応援したい」「新作は必ず買う」「いくらでも買う」という気持ちに変わり、価格に糸目をつけない需要を生みます。それこそがいわゆる「ラグジュアリー」なグレードの商品やサービスと言えるでしょう。
比較される域を超えたブランディングによって突き抜けたものが【ラグジュアリー】となるわけですね。
何かと比較するというよりも、「自分はこれが好きだから買う」それがラグジュアリーです。
海外へ行く際の航空機でも単に移動の目的であればエコノミーで良いわけです。奮発してビジネスクラスでも十分快適です。ましてビジネスクラスとファーストクラスの価格差もかなりあるわけです。
ファーストクラスなんて勿体ないと一般の人は考えますが、その優雅な体験や時間に価値があると考える人がラグジュアリーなファーストクラスを選ぶわけです。
桁外れのお金持ちであれば、エコノミーとファーストの価格差ですら誤差でしょうし、庶民と窮屈なエコノミーで並んで座るより、彼らにとっては多少多く支払って快適な時間を過ごした方が良いのでしょう。
普段の移動手段で言えば、電車やバスで安く移動できるが、タクシーや運転手付きの車で移動する人もいるわけです。
エコノミーはレッドオーシャン、ハイブランドやラグジュアリーは青天井
エコノミーやお値打ち品というのは、値段が安かったり同じ値段で少し良い機能の商品同士の競争が激しいです。
そして何より安いものほどクレームが増えるという現象も起こります。確かになけなしのお金で何とか買ったものに不具合でもあれば飛んでいってクレームをつける訳ですよね。
メーカーからしても少ないコストでそこそこの商品を提供するのは凄いことですが、安さには訳があって、行き届かない部分もあるのですよね。
それに対し、ハイブランドやラグジュアリー層の商品は厳密な品質確認がされており、品質は間違いありませんし、そうした商品を購入する顧客もお金や気持ちに余裕があるので、クレームなんてしないです。むしろそうした顧客はクレームに使う時間よりもビジネスで資産を生み出す方が生産的であることを理解しています。
安物ほど価格競争・機能競争に巻き込まれやすく、利益確保・品質維持が難しい上に、クレームの可能性とその対応に迫られると考えられます。高単価商品ほどファンがブランドに惚れ込み、他社と差別化、利益確保や品質維持が容易でクレームも少なくなると考えられます。
特にハイブランドやラグジュアリーは買う人は買うので価格設定も相場を無視して青天井で設定することができます。
僕達が生活しているこの世の中は、大衆向けやVIP向けなど様々な商品やサービスが展開していますが、様々な戦略や価格で需要と供給が成立していることを理解するとまた世の中を見る視点が変わってくるでしょう。それでは|彡サッ