僕自身もクリエイターでありメーカーであることから、値下げや安売りされることは大嫌いだ。これははっきり言いたい。

それでもっと言っておくと正直こんな薄利多売、大量生産・大量消費、なんてことをしていたら先がない。地球環境の面でも生産地の労働環境・待遇・フェアトレードの面でも必ずいつか槍玉になることになる。

ここでいう値下げ・安売りというのは、在庫処分などではなく、値下げを交渉(要望・要求)行為を指す。

起
値下げに関してはほとんどが仕入れ側の都合

そもそも値下げってどうしてするのだろうか。

大義名分で「より多くの人に手に取って貰える」みたいなこと言っているが、値下げすればある程度売上が上がって認知度やシェアを伸ばす・独占することができる。つまり、値下げは仕入れ側・販売側の都合である。

そもそも「多くの人に手にとって貰う」という理想を語るなら自分の利益取り分を返上してどうぞご勝手に。そうではなく、クリエイターやメーカーにその値段協力をさせようとしている時点でその理論は破綻している。結局は自分の売上が大事、でも安くした上で利益も欲しいのだ。

そしてその値下げ要求が何を意味しているのか理解をしていない。「あなたの作ったものを今までよりも安く買います」という要求が何を意味するのか、「あなたの仕事はもっと安く価値のないものです」と言っているようなものだ。「安くして貰わないと今後あなたから買いませんよ(困りますよね?)」この暗黙の脅しである。

はい、もう暗黙の脅しが入る時点でここでフェアなトレードにはならない。

並大抵のクリエイターやメーカーであれば値下げ要求に屈してせっせと値下げに応じるだろう。かくして値下げという地獄の入り口に突入していくことになる。

承
値下げという地獄の入り口(環境への取り組みと逆行)

値下げは、買い手(仕入れ側)から生産者に「値下げを強いる」こと以外は特に努力することもなく安く仕入れることができる。それで安くなった分ある程度売上は立つので、成果が出ているように錯覚する。

この大した努力もせず、成果が出ているような錯覚に陥ることがエスカレートを招き地獄の深みにハマっていくことになる。
値下げとは逆に付加価値をつけて高く勝手貰う方法がある。これは新しい価値であったり、既存の物にいくつか機能をプラスしたものを作り出す必要があります。

例を挙げれば携帯電話が流通していた時代に突如現れたiPhoneのよう革新的なスマートフォンを生み出すこと。もしくはiPhoneに始まりスマートフォンが流通した中で折り畳める液晶を搭載したスマートフォンなど付加価値を生み出して高く販売することで会社のブランドなども育てていく。

値下げにはそうした付加価値の創造や企業としての努力がない。

安さはクレームを引き寄せる

安売りは結局客層も悪くなるので、とにかく損をしたくない人々、クレーマーが集まりやすい。数百円の商品に対して何時間も掛けてクレームを行う。そしてその対応をするのが安く仕入れをした企業とその企業がまたメーカーなどにクレームをする。

安くした分くだらないクレーム対処に膨大な労力と精神的負担を掛ける。安売りなんて誰でもできることで根本的に付加価値を生み出していない。生み出しているのはクレームの可能性とその対処をする費用だけだ。

安売りは環境にも生産者にもやさしくない

薄利多売・大量消費を前提としているような値下げ商戦をして、ブランドは育っていくだろうか、地球環境は良くなっていくだろうか。クリエイターやメーカーは消耗していかないだろうか。答えは言うまでもない。

国連のSDGs(持続可能な開発目標)の取り組み対しても逆行しているのではないでしょうか。

安売りでたくさん買ってもらおうというやり方は限界があり、生産者(クリエイター・メーカー)にも仕入れコストを抑えるように買い叩いてフェアトレードではない。

中国新疆ウイグル地区の強制労働や不当労働の問題もあるが、それは極端な例というだけで、生産地に無理を強いている会社は山ほどある。むしろそうした生産者への対価をいかに抑えて仕入れをして大量に販売した企業が利益を得ている状況なのではないだろうか。

ご存知の通りそうした産地への不当な取引は世界的にバッシングされ、不買運動にも繋がる。そしてそれは今後更に厳しくなっていく。

転
不当・理不尽が世界的に淘汰されている

これからの世界の話をすると、モノやサービスが多く溢れた現代で消費者やサービス利用者ファーストという時代は終わると思う。お金を払った人だけが得をしようとする思想ではなく、より多くの人を幸せにするようになっていく。

生産者であるクリエイターやメーカー、生産地の人々の雇用とその対価を正当なものにするように世界は動き出す。安く買い叩いて利益を得る人が淘汰されていく。

世界は年々クリーンになっていることに気づきだろうか。タバコに関しても世界的に規制があった。コンプライアンスという意識が根付いて、会社内のパワハラや企業間の過剰な接待なども淘汰されていった。パワハラをする上司は部下からクレームが上がって、接待を強要していた・もしくは接待漬けになっていた担当者は取引先からクレームが上がって淘汰された。

弱い立場の声が今は届くようになっている

インターネットの普及により世界中の状況を見ることができるようになり、そして個人レベルでも情報の発信ができるようになっている。

弱い立場だった人々が理不尽・不当な被害に遭っていたことを告発できるように世の中は変わっている。世の中の理不尽や不当は是正され続けている。

今うまく行っている企業はどうだろう。本当にクリーンなやり方をしているだろうか。巨大企業のパソコンやスマホの部品をメーカーが喜ぶ価格で仕入れているだろうか。その他の企業も同じことが言える。メーカーに無理を強いているようなやり方は今後告発のリスクを高める。

そのうち「値下げ」といっても誰も喜ばなくなる。むしろ「不当な仕入れでは?」「環境にやさしくない」「値下げしなくても良いから産地に還元してほしい」という意識の高い人々が出てくるのではないだろうか。

結
値下げ・安売り・買いたたきはやめようゼッタイ

安売りする分、売上や利益を得るために大量に販売しなければいけませんよね。それって誰のためだろう。「お客さんに喜んで貰う」ためだろうか。それなら生産者(クリエイター、サプライヤー、メーカー)にコストダウンを要求することはしてはならない。

格好つけた白々しい大義名分などせずに素直に自社の売上や利益、市場のシェアを得たいという野望は今の成熟した消費者はお見通しだ。

生産者は暗黙の脅しに屈せずにフェアな取引をするべき。仕入れ側・買い手側の「自分たちが安売りしたいからあなた達も安く提供して」では一方的過ぎる。せめて値下げをするかわりに相応な素材・品質にするべき。生産者やメーカーに無理を強いるような取引は必ず後で告発される。

大量生産・大量消費を前提としているやり方は地球の環境問題とも逆行している。

価格が高騰していくNFT値下げする分野から見る光と影

値下げや安売りをしている一方で、NFT(簡単にいうと所有権があるデータ)が二次流通でも高騰していることが印象的だと思う。

クリエイターが自分で作成し、自分で販売までできるようになり、正当な報酬を得られるような形になってきている。

NFTは世界的に非常に注目度が高く成長している市場だ。クリエイターの台頭も目立っている。そんな伸びている市場はやはり価格も上がっている。

それに比べて値下げや安売りしているのを見ていると本当に消耗戦がエスカレートして最後は立ち行かなくなるのだろうと感じる。

値下げをしたら終わりが始まる

安売りに手を付けたら使える素材も減って品質も落ちるのが当たり前だ。ブランド力が落ちて安かろう悪かろうという印象がついた先には、付加価値や品質ではなく更に値下げしていく地獄の道しかない。安売りや値下げに手を染めることはブランドを下げ、生産者(クリエイターやメーカー)のことを過小評価している。

「安く買わせてほしい」と言われてはまず掛けられるコストも下がるので、品質は圧倒的に下がる。生産者のモチベーションを上げるわけもなく、そんな熱の入っていない商品を消費者には響かない、結局売れずに衰退は避けられない。終わっていく。

値下げ・安売りなんて誰でもできることで、効果が出たような気持ちになるけど、失うものの方が圧倒的に多く、持続可能性もないので息詰まるよねって話。

生産地や生産者、クリエイター、サプライヤー、メーカーに向かってどんな顔をして、値下げを要求する?
地球環境にも悪いし、値下げされた側は確実に利益が得る、モチベーションも品質も下がって、消耗・先がなくなる未来しか見えないんだぜ?今度は何を正当化する?どんな大義名分を用意する?その手は近い未来通用しない。それでは |彡サッ

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